木の家
(在来工法)
日本の伝統的な工法です |
特徴(メリット) ・木という自然素材の使用 ・建物の形状、間取りの自由度が高い ・大広間も可能 ・増改築が比較的に容易 ・重量が軽いわりに地震・耐久性に対して強度が高い |
特徴(デメリット) |
木材は優れた断熱材
断 熱材の多くはそれ自体では強度がないため、他の材料に保持されないと形を保てず「自立」できません。ところが木材は、軽量であって強度があり、断熱性も断 熱材に近い性能があり、とても優れた材料です。また、住宅材料として、人に 快適な環境をもたらすことが、いろいろなデータで明らかになっています。 |
皮膚の表面温度は、環境によって鋭敏に変化しますが、 コンクリートの床は足が冷えるとよくいわれます。 図1は、床材料の違いが人体疲労へ与える影響を見るため、 人体の皮膚温度の変化を測定した結果です。 床に用いる材料で、皮膚温度が大きく違ってくることがわかります。 しかも、時間の経過とともない、皮膚の温度低下はコンクリートで最も強く、 ビニールタイルがこれに次ぎ、木材が最も軽微です。 また、足が床に接しているとき、熱が床にどのくらい流れるかを、 足モ デルを使って調べたのが図2です。 ここでは、接触直後の最大熱流量と10分後の熱流量が測定されています。 この結果、冷たく感じる材料は、熱を伝えやすい ことが裏付けされています。 木質床とカーペットの熱流量を比べると、接触直後では木質床の方が大きいが、少し時間がたつとほとんど変わらないことがわかり ます。 長時間立って作業をする 職場では、足の冷えを防ぐ、 木の床が最適であると言えるでしょう。 |
出典:「木材工業」Vol.22,1966
一
般に木は燃えやすいと考えられています。しかし、大きい断面を もった木材になると、表面に着火したとしても、表層に炭化層ができ、 それが断熱層の役割を果 たし、燃焼の進行は遅くなります。 図5は、集成材断面の炭化層の形成の状態を示していますが、 表面の炭化層は熱分解速度が小さいだけでなく、その熱伝導率 は 木材の1/3〜1/2程度なので、断熱効果をもち燃焼速度を遅くする ことになります。また、図6は、鉄、アルミニウム、木材が加熱された時の 強度の 低下 を示しています。アルミニウム、鉄は3〜5分でほとんど 強度がなくなりますが、木材は15分経過しても60%の 強度を持っている ことが分かります。した がって、火災が起きたときでも 断面が大きい柱・梁などからできている木造の場合、構造体としての強さは 鉄骨造よりずっと長時間維持されます。 |
図5 30分間燃焼させた集成材梁の断面
出典:日本火災学会論文集5.P.3,1955
大
きい断面の木材は燃えにくいのですが、小さい断面の木材はよく燃えます。 そこで、木材の燃える欠点を補うため、 燃えにくい木材が開発され 商品化が進んでい ます。しかし、最近は燃えないゴミの処理が社会問題化し、 わざわざ燃えやすい「材」を研究し製品化する時代になってきています。 |
木
材は湿度が高くなると湿気を吸収し、湿度が低くなると放湿して それを高め、周りの湿度が一定になるように自動的に調節しています。 このような木材の調湿機能は,正倉院の宝物が非常に良好な状態で、 長年保存されてきたことからも、一般的によく知られています。 正倉院の宝物は、「からびつ」という厚さ2cmの スギ材の箱に 収納されています。スギ材で「からびつ」と同様の箱を作り 内外の湿度を観測したところ、図2のように、箱外の湿度が 50〜80%まで変化して も、箱内は65%前後に保たれていました。「からびつ」内の湿度も、ほとんど変動せず一定に保たれていたのでしょう。 出典:「木材工業」 東 修三 No.29(1974) |